「風立ちぬ」を観てきました。
内容に触れる前に、映画ポスターについて。
映画の公開前に告知用に出された4種の映画ポスターのうち、ヒロインが野原(土手?)で絵を描いているポスターの絵がとてもカッコイイ。
構図のとり方がシンプルで、繊細で・・・。
あと、題字。
手描き感あるフォントですが、どことなく時代を感じさせ、また、今にも吹き飛ばされそうでもあり、とても映画の雰囲気にマッチしているなぁと思いました。
さてさて内容ですが、まっすぐに生きている姿が描かれていてとても感動させられました。
娯楽や情報にあふれ目移りしてしまう現代、満たされ過ぎた現代では「まっすぐ正直に生きる人間像」を描くのは難しいと思います。
宮崎さんが「なぜ現代を描かないのか?」という質問に対しては、これで解決できると思うのです。
宮崎さんが描きたい「人間像」は、現代では描けない、ということなのだと私は思います。
また、宮崎さんの映画は、時にストーリーを放棄して「考えるな、感じろ!」という世界に入ることがありますが、置いてけぼりにされても我々が観てしまうのは宮崎さんの絵に、演出に、魅せられてしまうからです。
おそらく「先に描きたいシーンがいくつかあり、それらを後から無理やり繋げる」というシーン先行の創作の仕方なのでしょう。
その点『風立ちぬ』は、原作というか幹は据わっているので、あとは「枝葉をどうするか?」という問題で、そうなると、宮崎さんの演出の巧さは言うまでもありません。
『風立ちぬ』では特筆すべき点として、声優と、効果音も挙げられるでしょう。
主人公の堀越二郎役の庵野秀明さんは「エヴァンゲリオン」の監督で有名な方です。かつて宮崎さんの下で「ナウシカ」の制作に携わっていたこともあり、師弟の間柄?ということで問題ないと思いますが・・・汗
その庵野さんが声優初チャレンジということで、いろんなご意見があったようですが、私が観た限りでは、違和感はありませんでした。
堀越次郎は、ゼロ戦の設計者で有名な方ですが、そういう天才肌の人間にありがちな、どこか読めない、対人間のコミュニケーションのぶっきらぼうな様は、かえって声優など経験豊富な人では無理だったのではないかなぁと私は思いました。
効果音も、人間の鳴らす音で再現しているとのことで、声真似に、手を叩く音などを加えたりして作っているそうです。
これは言われないと気付かないんじゃないかというぐらいで、これまたスゴイなぁと思いましたが、人間の鳴らす音でなきゃいけない理由はよく分かりません笑
今回の『風立ちぬ』では、トトロのようなや架空のキャラが出てこない、また、ファンタジー要素が無い、というのも特徴の一つでしょう。
漫画業界でも「キャラが命」というように言われています。
「見た目からしてインパクトのある架空のキャラを生み出せ!」という教えもありますし、そういうキャラが出てこないにしても『登場人物に個性を出せ!』という教えがあるのです。
私は、この教えに心底嫌気が差している人間なのですが「インパクトのある架空のキャラクターだの、能力だかなんだかを有した個性など。そればかりに重点を置かなくもいいじゃないか?」と思っているのです。
「ストーリーで魅せる作品があってもいいじゃないか?」と。「もっと等身大の人間を描いても、そういう作品があってもいいじゃないか!」と思っているのですが、漫画に心酔している人ほど分かってもらえないような傾向にある気がします。
話が脱線してしまいましたが『風立ちぬ』には、トトロのようなキャラがいない・ファンタジー要素が無い、と言いますが、私はそれは少し短絡的じゃないかと思っています。
確かに、トトロのような架空のキャラは登場しませんし、異空間が舞台でもありません。
しかし、随所にみられる主人公・堀越二郎のイメージの世界や、地震の表現であったり、もっと言えば、登場人物の喜怒哀楽の中にファンタジーを見出すことが出来ます。
まぁ、ファンタジー要素が無いと言っている人たちからは、単に現実世界を描いているのが残念なんだよ、、という声が聞こえてきそうですが、分かりやすいファンタジー表現という意味では『風立ちぬ』では出てこないので、それが残念という方には、それはそれで特に何も言うことはありません・・・汗
また、トトロのような架空のキャラは全く出てこないので、そういう意味では子供が観る分には退屈するかもしれませんが、将来観るであろう子供たちや、大人は楽しめる内容だと思っています。
感想だか批評だか、なんだかよく分からなくなってしまいましたが、今回はこの辺で締めくくろうかと思います。
最後に、何の関係もない私のラクガキを添えて。。。
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