北九州市漫画ミュージアムで開催中の江口寿史展 KING OF POPを観てきました。
とにかく「美女」のオンパレードでした。
個人的には、ビデオコーナーで見た江口さんのペンの握りが気になった。
中指が潜らず、人差し指に添えられるような握り。
あの握りから、あの線か。と、思うことがあったのだが、果たしてどうだろう・・・。
展示の絵ももちろんよかったのですが、似顔絵5分スケッチの絵が私は好きでした。
奇しくも最近、偶然見たテレビで浦沢直樹さんが江口さんの絵について言っていたことが頭の片隅に残っていた。
「漫画の絵(記号絵)における正面の顔の鼻をどう表現するか?」という問題。
80年代前半?くらいまで、記号絵における鼻は「『く』の形」で表現されていたため、顔を描く時は角度がついていて正面から描いたものがあまりなかったそう。
それを江口さんは、鼻の筋線を排して鼻の穴をふたつ、ちょんちょんと置いて正面顔を表現した最初の人とのこと。
当時、漫画絵で女の子を描く際「鼻の穴」を描くことは躊躇されていたらしいです。
たしかに、記号化する際、穴を記号にするよりは「鼻の筋」をスラッと描く『く』の記号の方を選ぶのも無理はないように思われます。
江口さんはあえて鼻の穴を描いて記号絵としての「美女」を成立させた、パイオニアらしいのです。
まぁその時代を知らない僕たち私たちは「大したことない」と思ってしまいがちですが、ガラケーからスマートフォンになるのと同じくらい漫画描きたちにはショックだったことでしょう。
この発想はどこからきたのか、当時の空気感を知らない私が言うのもなんですが、漫画畑の人には中々できないような気がするのです。
もちろん漫画の影響も受けたのだろうけど、映画だったり、デザインだったり絵画だったり、記号ではなくリアルの人物をきちんと見つめていたからこそ、出てきた発想なのではないかなと思うわけです。
いろんなものを吸収できる器用な人だということでしょう。
実際、展示を観ていて間違っていないように思いました。
少女漫画風から、手塚風、大友風・・・いろんな絵柄にかえられる器用さ。
絵の背後から、多様なナニカが嗅ぎ取れるような・・・。
こういう革新的な何かを生み出す発想は、その専門外の分野も分け隔てなく柔軟に吸収するところから、始まる気がするわけです。
まぁ漫画でもなんでも、専門外の分野のことだって、全く繋がってないわけじゃなく、抽象的なところで何かしら共通するものがあるし、視点の持ち様でより一層理解できることなんかよくある話さ、ベイベー。
オレはいったい何が言いたいんだっけ?
まぁいいや。ついでに関係ないことでも言っとくかな。
『遠足の弁当は、冷えているから良いのだ。保温の弁当箱なんぞ興が冷める』
一見関係ないこんな戯言も、抽象的な視点を持てば、どこか得るものがあるかもしれない。し。ないかもしれない。
展示は11月3日まで。
記事の絵は、江口さんの美人絵に対抗して、私の美人絵を! 珍しく女子高生。
実は最近、女性を描くのが少し楽しくなってきた。
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